小説

こんな愉快で不思議な夜を過ごすのが夢 | 森見登美彦 (著) 『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女
なかのせ
なかのせ

なかのせですっ!
本日は私の大好きな一冊『夜は短し歩けよ乙女』です。

森見登美彦さんの描く世界はほんっとに面白いですよね。何より個性が「豊かすぎる」キャラクターたちが最大の魅力だと思うんです。

アニメ映画化されていて、とても評価が高く有名なので知っている人も多いと思います。

 

 

本書を購入したきっかけ

ハッキリとしています。
アニメ映画を視聴して「なんて素敵な世界なんだ!」と感動したことがきっかけです。多分2、3回は観てます。

普段は映像化された作品を観た後に原作を読んだりはしないんですが、実に愉快で軽快で気持ちいテンポで繰り広げられる登場人物たちの会話を活字で読んでみたくなるのはもはや必至だったなぁと。

ということで2020年1月ごろに古書店で購入しました。

著者 森見登美彦

奈良県生駒市出身。京都大学を卒業しています。

2003年、在学中に執筆した『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞して、小説家デビュー。

2006年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞し、 第137回直木賞(2007年上期)候補、2007年第4回本屋大賞(2位)に選定されています。

作風

押井守さん好きなんです。ボーッとしてると、押井守と宮崎駿が自動的に出てくる。気を許すとそれが入ってくるので、後から読み返すと「うわっ、似てる」となるんです。」
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/森見登美彦

押井守と宮崎駿のエッセンスや世界観が本書『夜は短し歩けよ乙女』にも取り込まれているのでしょうか。

一方で自身の作風については下記のように語っています。

「ファンタジーは強引にまとめられるので何とか書けるが、現実の物事がいろいろ複雑に絡み合ったクライマックスは頭に浮かばず書けない」

「シリアスな小説を書く意味がよくわからない。シリアスなものは、怪談しか書けない。まして、ミステリーのように緻密なものは考えられない」

代表作

  • 2003年 – 『太陽の塔』 – 第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞
  • 2007年 – 『夜は短し歩けよ乙女』 – 第20回山本周五郎賞受賞
  • 2010年 – 『ペンギン・ハイウェイ』 – 第31回日本SF大賞受賞
  • 2014年 – 『聖なる怠け者の冒険』 – 第2回京都本大賞受賞
  • 2017年 – 『夜行』 – 第7回広島本大賞受賞
  • 2019年 – 『熱帯』 – 第6回高校生直木賞受賞

『四畳半神話大系』や『夜行』に関しては読了済なのでいつか記事にしたいと思います。

夜行
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ほんのりとあらすじ

主人公は「黒髪の乙女」好奇心の化身のような行動力に溢れた大学1回生。

そんな黒髪の乙女に想いを寄せる「先輩」はとにかく彼女の視界に入る為に偶然を装っていつも現れる。

「奇遇ですねえ!」

そんな「黒髪の乙女」と「先輩」を取り巻く個性が溢れて大洪水にならんばかりの魅力的なキャラクター達と経験するどこか不思議で面白可笑しい珍事件の数々。

ざっくりこんな感じです。

読み終えた感想

まず冒頭でも書いた通り、私はアニメ映画から入りました。

さて、本書は全4章から構成されています。

なんと季節も飛び越えているしボリューム的にありえないんですが、なんと本書の物語はとある「一夜」の出来事だということになっています。

最初から最後まで、「黒髪の乙女」「先輩」が交互に語り手を務めるんです。

好奇心と行動力に溢れた彼女の前には次々と面白そうなことが起こり、周りの人々を巻き込みながら積極的に参加していきます。

一方、「先輩」は彼女に対して石橋を叩いて壊すほど慎重に外堀を埋めてきた。

彼女とエンカウントすることに能力を全振りしてきた彼は、チラッと視界に入ることはできるのだが中途半端によく近くに出現するためか、彼女のバイタリティ溢れる行動によって生じた何かの面倒な部分に毎回巻き込まれてしまう。

彼女が後輩として入部してきて以来、すすんで彼女の後塵を拝し、その後後ろ姿を見つめるに見つめて数ヶ月、もはや私は彼女の後ろ姿に関する世界的権威といわれる男だ。
『夜は短し歩けよ乙女』 P81

私はどちらかというと「先輩」に感情移入しました。ちょっと小細工が過ぎるけれど、根っこは真面目で紳士。普段は達観してるような口調でも、結局最後は気合と根性なのだ。

個人的に彼の恋愛価値観は結構好きです。

世には、大学生にもなれば恋人がいるという悪しき偏見がある。しかしこれは話が逆なのだ。「大学生にもなれば恋人がいる」という偏見に背を押された愚かな学生たちが、無闇に奔走して身分を取り繕い、その結果、誰にも彼にも恋人がいるという怪現象が生じる。そのことが、さらに偏見を助長する。
『夜は短し歩けよ乙女』 P264

「先輩」のコツコツとした努力は確実に積もってゆき、2人の関係にも変化が!?

やっぱり接触頻度の高いには好意を抱いていくんでしょうか。

私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。…中略。「偶然の」出逢いは頻発した。それは偶然と呼ぶべき回数をはるかに超え、「これはも運命の赤い糸でがんじがらめだよ、キミたち!」と万人が納得してうけあいというべき回数に達していた。
『夜は短し歩けよ乙女』 P156

だって基本的に彼はちょこっと現れては「奇遇だねえ!」といってその場を去っているだけなんですけどね?

それでも、風邪で寝込んでしまった「先輩」としばらく会わないだけで「黒髪の乙女は」彼を意識してしまうのです。

黒髪の乙女

本書の主人公である彼女。可愛くないですか??

森見登美彦さんの書く小説の主人公orヒロイン枠の女の子キャラはとんでもなく魅力的です。キャラが最高なんですよねー!

1章では木屋町の夜が舞台で、「黒髪の乙女が」羽貫さんや樋口と共に宴会に忍び込みタダ酒を飲み歩いていると次第に大ごとになっていき、最後は飲み比べ合戦へと発展します。

彼女はとんでもなく酒豪であり、何種類かお酒が登場します。ほんとに美味しそうに飲むんですよねー。

私は太平洋の海水がラムであればよいのにと思うぐらいラムを愛しております。
『夜は短い歩けよ乙女』 P13

カクテルを飲んでゆくのは、綺麗な宝石を一つずつ選んでいくようで、たいへん豪奢な気持ちになるのです。アカプルやキューバ・リバーやらピナコラーダやら。
『夜は短い歩けよ乙女』 P14

2章では幼い頃に大好きだった絵本を探して古本市の宝探しを楽しみます。

3章では突然即興劇のヒロインの代役に任命されながらもノリノリで演じきります!

色々とぶっ飛んでいるところもあれば、素でボケのようなことを言ったりと、そんな彼女が物語を回しているわけですが…

私が「黒髪の乙女」のことが大好きな1番の理由は、誰に対しても感謝の気持ちを素直に伝える姿勢です!

こんな人におすすめ

  • 愉快でテンポが良い物語が読みたい
  • 恋愛ファンタジー作品を読みたい
  • 森見登美彦の作品1冊目
  • アニメ映画化された原作に興味あり

ページ総数も300ページ程でそこそこ手頃なのではないでしょうか?何より登場人物全員個性的で全員好きになれることを保証します!

ぜひ一読してみてください。