今回は今まで読んだミステリとはちょっと趣向の違う一冊を読了しました。かなり大ヒットした有名な作品ですね。
2015年に映画化もされている作品ですね。
本書を購入したきっかけ
2019年5月ごろだったと思います。
推理小説のおすすめランキングのネット記事を見て気になったことがきっかけで本書を手に取ることになりました。車で古書店へ買いに行った記憶があります。
著者 乾くるみ
小学生の頃からミステリーが好きで、中学の頃には横溝正史や江戸川乱歩賞受賞作を読み漁ったそうです。
1998年に『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し、34歳で作家デビューを果たしました。
2004年に刊行した『イニシエーション・ラブ』はその年の「このミステリーがすごい」で第12位、「本格ミステリベスト10」で第6位と高く評価される。
代表作
- 『Jの神話』
- 『マリオネット症候群』
- 『イニシエーション・ラブ』
- 『リピート』
- 『クラリネット症候群』
- 『セカンド・ラブ』
- 『蒼林堂古書店へようこそ』
『蒼林堂古書店へようこそ』は以前記事にしました。こちらもとても素敵な作品のでぜひおすすめの一冊です。

作風も幅広く、私は乾くるみの書く登場人物たちの会話が結構好きです。なんとなく生身の人間感がありますよね。
ほんのりとあらすじ
合コンの席で偶然出会った男女が恋に落ち…甘酸っぱい青春ストーリー。
しかし、舞台の裏側では想像もつかないような展開が…
わかりやすく2つに区切られた物語の意味とはなんなのか。そして迎えたクライマックでは衝撃の事実が発覚してしまう。
読み終えてみた感想
読了した時の感情は今でも覚えています。
「ん?このオチってどういう意味なんだ?」
しかし、数秒考えてもう一度最後のシーンを読み返してみるとやっと理解します。
「とほほ、お主も悪よのぉ」
さて、本書は大きく分けて二部構成となっています。物語は、主人公の「鈴木」とヒロインの「繭子」を中心に進行します。基本的に「鈴木」の視点から物語が語られます。
sideA…
合コンで大学生の二人が運命的な出会いをして、次第に愛を育んでいくどこか甘酸っぱいような青春物語。といった印象でした。
sideB…
社会人になり、東京転勤を機に遠距離恋愛となった主人公の前に別の女性が現れ、次第に自分の気持ち考えさせられる。やがて決断を下す。といった印象を受けました。
読み終えてみて初めてわかることですが、sideAとsideBが持つ意味は想像よりも深いということです。
お気づきだろうか、本書は初読と再読でまったく違う物語が浮かびあがあるのだ。
『イニシエーション・ラブ』 解説 P257
まさにこの通りで、トリックやオチを把握した状態で再読すると、もうただ甘酸っぱいだけの青春ラブストーリーだとは思えませんね。まあ、それこそが本書最大の魅力だと思います!
正直な話、普通に読んでいるだけで、後半では明らかな「違和感」を読者は感じちゃうので、オチもちゃんと腹落ちすると思います。
私が勝手に思った本書の大掛かりなトリックは2種類。トリックそのものがネタバレになるので詳細は省きますが、その2つのトリックを絡め、誰しもが経験する最初の恋というテーマに忍ばせるわけですねっ!
れっきとしたミステリーです!
こんな人におすすめ
- 映画化された作品を読もうかな
- 最後のどんでん返しで痺れたい
- ラブストーリーが読みたい
結論、シンプルに万人にオススメしやすい一冊かなと。私自身、今まで読んだ小説の中でも最後のシビレ指数では上位に入ります!
映画版もかなり評価が高いのでそちらを観てみるのもいいかもしれませんね。